祝!8942祭りフィナーレ


薬眉sssです。

途中から、明確にセリフを分けないで書きました。
かなり無理がありますが、眉薬に変換してお読みになることもできるかと(^^;)


楽しいお祭りをありがとうございました!!





sss<花火>








「なあ・・・。」


「・・・・ん?」


二人とも、視線は空を見上げたまま。


薬師寺のマンションから、花火を見る。
ペナントレースも佳境に入るこの時期、
さすがに毎年、というわけにはいかなかったが、
今年は自分の登板直後で、彼もデーゲームだったから、
眉村は迷わずここに訪れた。


明確な約束などなかったのに、テーブルの上には、二人分のつまみと、
お互いの好みの輸入モノのビールとワイン。


花火会場で見るような迫力はなくとも、
ベランダから遠目に見える煌きの華は
都会の夜景に溶け込む、不思議な夏の幻想のようだった。



「薬師寺・・・あの花火・・・・・花が散るようだ・・・。」


「・・・寂しいこと言うなよ。賑やかなお祭りみたいな花火だろ?」


「・・・・・派手な祭りほど、終わると寂しい・・・。」


薬師寺は躊躇することなく、そうだよな、と返してきたので、
めずらしく感傷的なことを口にしたことへの照れもない。



「祭りの後・・・って行ったことあるか?」

そういえば、何年も祭りなんてものとは無縁だな、
と思いながら、眉村が言った。

「ああ。いろんなモン落ちてて、笑えるよな」

薬師寺は何か思い出したように、楽しそうな顔をした。


「やっぱり拾うか?・・・小銭。」


「ったりめーだろ?」


顔を見合わせて笑う。このひと時の幸せを噛み締める。





「子供の頃、・・・・河川敷の花火会場によく行ったんだが」


「あまりにも間近で爆発音がして・・・・
そして視界すべてを多い尽くすような花火の光がまぶしくて、
 ・・・・むしろ恐ろしいような気がしたよ。」




そう、自分に降り注ぐ光に、飲み込まれてしまうような錯覚。
息が・・・・止まりそうになって・・・・。




「・・・・・こんな感じか・・・?」



やさしく抱き締められた。
どちらともなく、唇が触れ合い、やがて深い口付けへと変わる。



「・・・かも・・な・・・・」






遠くの空では、フィナーレを飾る最後の華やかな花火たちが、
一斉に咲き乱れ、空を明るく照らしていた。







<終>