Winter in N.Y 
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〜プロローグ〜 


冬のニューヨークは、日本の何処よりも寒くて冷たくて、そして・・・。




◇◆◇


昨年移籍した佐藤と眉村に続き、
薬師寺は今年、FAを行使してメジャー挑戦を表明した。
いくつかオファーがあったが、
かねてより薬師寺を熱望してくれた西海岸のチームに決まるまで、
あまり時間はかからなかった。

そんな時、テキサスレイダースの契約更改を終えた眉村から連絡があった。
電話越しに聞く声は久しぶりで、気恥ずかしささえあった。

契約のためにアメリカに来るなら、
帰国前にニューヨークへ同行しないか、と誘われた。
なんでも地元球団イベントに、ゲストで呼ばれたというのだ。
薬師寺は驚く。

「二人で・・・旅行だと?」

「別にいいだろう?」

「家族で行けよ。」

「下の子がまだ小さい。」

「なんだよ、それ。昔の恋人と二人きりとは、お前もいい度胸してるなぁ・・?」

男女ならありえないな、と鼻で笑う。

「どうしてもお前と行きたい。」

言い出したらきかない性格はよく理解していた。
薬師寺はわかったよ、と言い、電話を切った。

二人が別れてから数年がたっていた。




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