高校時代の二人。
オフ本とも、サイトのssとも違う、ちょっと青すぎる二人です・・・。






「始まりを告げる鐘」






冬休みだというのに呼び出され、二人で映画にいったのは高校時代のクリスマスだったか。

アクション映画を選んだのに、館内はカップルだらけで嫌気がさして、
途中で抜け出した。

結局バッティングセンターで好きなだけ打ち込んで、
コンビニで買った夜食をほおばった夜の公園で。
何故だかわからないが、とても居心地が良くて、急に笑いがこみ上げた。


____こういうの、悪くないな。


と言うと、薬師寺がホッとしたような顔になった。
不思議に思ってどうしたんだ?と聞くと、
彼は黙って俯いてしまった。やがて、小さな声が漏れる。


_____好きな奴の誕生日ってどうしたらいいかわからなかった。


一体、何を言っているのか理解できず、もう一度聞き返した。

薬師寺からの返答は無く、代わりに抱き締められる。
そして気付いた薬師寺の想いに、戸惑った。


慌てて体を離した。
不思議なことに嫌悪感はなく、ただ驚いただけだったのだが、
拒絶されたと思った薬師寺は、真っ赤になって唇を噛み締めていた。
そして、見たこともないような眼差しをこちらに向けた。
今までどうやって、その瞳の奥にある、
深い情熱を浸隠しにしてきたのかと思うくらい・・・・・


_____ごめん。


謝るくらいならそんなこと言わなければいいのに、と眉村はため息をついた。


_____お前ならいいよ。


何故そんな答えを口にしたのか、よくわからなかった。
でも次の瞬間、もう一度抱き締められ、その強さと温かさに、
やっぱりこれでよかったのかと安堵した。



初めてのキスで、冷たい唇がやがて温かくなることを知った。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


next




2008・12・25


back to Xmas2008