薬眉+ゴロトシ? プロ入り後 








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晴れやかな空がさわやかな、晩秋のオフシーズン。
ここはとあるゴルフコース。



洒落たゴルフウエアに身を包んだ薬師寺の鮮やかなスイングが風を斬ると、
フェアウエイにむかって真っ直ぐに白球が飛んで行く。


「ち・・・少しスライスしたか・・・」


野球選手は皆、ゴルフ好きとはいうが、薬師寺のそれは、まだ初めて間もないというのに、
趣味というにはすこし入れ込みすぎではないかと眉村は思う。



かくいう眉村は、ゴルフというものに全く興味を示さなかったため、今まで
薬師寺の強引な誘いにもまったくのらなかった。
しかし、今年はそうもいかなかった。
年末に、今までずっと逃げてきた選手会の合同コンペに出るハメになってしまったのだ。
それを聞いた薬師寺のうれしそうな顔に、眉村は苦笑いするしかなかった。
あっという間にセッティングされた今日のコースデビューは、
気心知れたメンバーだと聞いてホッとはしたのだが・・・・。



「あ、これ、キャロウェイの新しいモデルじゃない!?薬師寺、もう買ったんだ!」
「まあな。あとで試してもいいぜ。」
「やったー」


薬師寺と同じくらい、ゴルフ好きな佐藤寿也が、彼のドライバーを見てはしゃいでいる。
その横に、全くやる気のなさそうな男が一人。


「寿!! なんで俺までやらなきゃなんねーんだよー。」


久々に旧友と顔を合わせるというのに、 茂野吾郎は眠い目をこすりながら、
不満たっぷりの顔である。


「ここまで来ておいてそれはないよ、吾郎くん!」
「ハマルぜ。ゴルフってやつは。」
まったくおかまいなしの二人の前に、父親から借りたという、
あまり似合わないポロシャツとスラックスを着た
吾郎は、まだブツブツと文句を言っている。

「大丈夫だよ!吾郎くんなら!ほら、 ティーショットだよ!」

「・・・たく、止まってるボール打って何がおもしろいんだか。」


実に彼らしい暴言を吐きながら、ティーグラウンドに立つ吾郎。
それでも、鍛え上げられた腕がゆっくりと後ろにひかれ、体がしなるその姿は
なかなか様になっていた。


豪快な音と共に、吾郎のショットは、勢いよく空へと飛び出した。


「よっしゃ」
「ファーーーーーー!!」

吾郎がガッツポーズを取る前に、寿也があわてて大声で叫ぶ。



「なんだよ!!」
「思いっきり横にそれてるよ!!誰かに当たったら危ないじゃないか!」
「お前・・・そんなことも知らずに今日は来たのか・・・?」




・・・・・先が思いやられそうな一日だった。




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